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《展覧会の概要》
江戸時代265年間の中で、文化の大きな盛り上がりは2度ありました。貨幣経済が浸透して“豪商”と呼ばれる人々が台頭してきた元禄年間(17世紀末〜18世紀初)と、江戸が大都市として成熟した文化・文政年間(18世紀末〜19世紀)。いずれも支配者層ではない町人が文化の担い手となったことが特徴です。新たな物流や嗜好が生まれ、それに伴って食生活も変化し、食とは切っても切れない関係にある食器も需要に応じて形を変えていきます。今展示では、江戸時代の町人たちの食文化を支えた伊万里焼を、収蔵品の中からご紹介します。うつわを通じて江戸時代の雰囲気を感じていただければ幸いです。(約100点出展予定)
【豪商が支えた絢爛豪華な元禄文化】
17世紀末、京都や大坂を中心として元禄文化が花開きました。大名と同等、もしくはそれ以上の財力を誇る商人が台頭して芸術や文学などに影響を与えるようになります。古くからの豪商のみならず、起業して大商人になる人々も現われ、新興都市・江戸も急速に発展しました。きらびやかな時代の気風を反映して、伊万里焼も金彩や赤絵具を多く使った豪華な〈金襴手(きんらんで)様式〉が流行しました。型物(かたもの)といわれる最高級品から、金の使用量が少ないタイプのものまで、需要に合わせた様々なうつわが新たな消費者層のために生産されました。一方、コバルト顔料を使う染付では繊細な文様表現の製品が作られました。
第1展示室では、元禄時代前後に作られ、贈答や宴席に用いられたであろう金襴手様式と染付のうつわを展示いたします。
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色絵 龍文 菊花形鉢 伊万里
江戸時代(17世紀末〜18世紀初)
高10.1p 口径26.5p 高台径12.5p |
【江戸町人が支えた粋な化政文化】
上方が中心だった元禄文化に対して、18世紀末頃から始まる化政文化は将軍のお膝元である江戸の町人が主役です。人口100万を超える大都市として成熟した江戸には各地から単身赴任や出稼ぎ、参勤交代で江戸詰めになった武士など多くの人々が集まり、外食産業が盛んになります。屋台で手軽な握り寿司や天ぷら、蕎麦などが売られる一方、はやりの料亭で高価な料理を食すのが〈通〉であるとされ、高級料亭も繁盛しました。そこには大量の食器の需要が生まれ、碗や鉢、大皿や蕎麦猪口など、現代にまで通じる多種多様な食器が登場しました。その多くは染付が使われ、粋で斬新な文様が描かれています。
第2展示室では、様々な料理屋が登場し、磁器製のうつわが庶民にまで普及した18世紀から19世紀の伊万里焼を中心に展示いたします。
第2部では、元代から清代までの官窯磁器を時代順に追い、皇帝の交替や官窯体制の変化にともなう作風の変遷をご覧いただきます。
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染付 竹虎文 皿 伊万里
江戸時代(19世紀)
高7.7p 口径53.6p 高台径29.2p |
【江戸の流行、蛸唐草(たこからくさ)文様】
やきものの文様に伝統的に使われていた唐草文様が、江戸時代後半になって大きく変化しました。花や葉は簡略化されて点状になり、まるで蛸の足のようにくるくると渦を巻いた蔓がうつわ全体に広がっていきます。食器のみならず化粧道具や調度品に至るまで、あらゆる器形に蛸唐草が描かれ、当時この文様がいかに流行していたかを伝えてくれます。第3展示室では江戸時代に大流行した蛸唐草文様のうつわを中心に展示いたします。
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